先週末から読み始めたスーザン・ソンタグ『アルトーへのアプローチ』(みすず書房)を読了(合間に37年前の『現代詩手帖1967年8月号(特集:アルトー)』を挟み読みしましたが)。
ソンタグのアルトー論は主観的では無く、あくまで相対的な方向付けによってアルトー像を描いていますが、容易に理解出来ない人物と云った結論に向かっていくあたりは、狂人と云わないまでもある種既決されたアルトー像から抜け切れていないんじゃないかと思ったりもしました。
絶対的な安定と徹底的な崩壊の表裏を鋭く刺し込みや、神秘的と云うには余りにも奔放且つ想像力に満ちたドライ・フールな世界を描く戯曲を前に、私も多少なりとも演劇に関わる人間として、いつか自分の表現でアルトーを汚辱の沼にどっぷりと浸し、その蒼白な顔面に唾を吐きかけ、演劇の欠陥を嘲笑いしであげたいと考えています。
悪しき夢想者アルトー。
やはり読むほどに、知るほどに魅了されます。