取り立てて猫が好きというわけではございませんが、ポール・ギャリコ作『ジェニィ』を拝読いたしました。
進退揺らぐ日本放送協会で再放送されていた人形劇がとてもかわいかったので、ついのつい。
少年ピーターがある日突然猫になってしまい、ジェニィという心優しい猫に出逢い共に冒険をする、大筋そんなお話でございます。
また、私がまだ青年であった頃に拝読したファンタジーの名作『スノーグース』も素敵な物語だった記憶があります。
野生の鳥達を唯一の友人としてに暮らしていた孤独な画家ラヤダーと傷ついた白雁を抱いた少女のひそやかな心の交流劇でございました。
十代の頃に私が愛聴しておりました英国のプログレッシブ・ロックバンド「キャメル」がこの物語『スノーグース』にインスパイアされ、甘美なフルートや小太鼓に見立てたスネアなどの響きをもって同名のアルバムを制作しており、その音世界は物語を読まずとも風情を想起させてくれたものです。
蛇足ながらもう一方の『さすらいのジェニー』の訳者矢川澄子さんは渋澤龍彦さんの最初の奥様でブレヒト作“子供の十字軍”なども訳されておりますが、残念な事に2002年に自尽なさいました。